【あらすじ・感想】ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』 -1人の青年と1匹のネズミの物語-

  • 2022年6月8日
  • 2022年6月9日
  • 読書

今回は、アメリカ出身の作家「ダニエル・キイス」の長編小説『アルジャーノンに花束を』のあらすじと感想について書いていきたい思います。

この本のタイトルですが聞いたことのある人がけっこういるんではないでしょうか?

知的障害者が主人公の物語で、2002年に俳優のユースケ・サンタマリアさん主演でドラマ化もされています。

そしてなんと、2015年にも元ジャニーズの山下智久さん主演でドラマ化されており、日本で計2回ドラマ化された小説となっています!

2回もドラマ化されたという事は、原作の評価はかなり高いものでなおかつ人々の心に刺さるものだったに違いありません。

本作ですが、総ページ440ぐらいで少し長い作品となっています。

かなり涙腺が刺激される作品となっているので、涙もろい人はハンカチの準備をお忘れなく。

1.こんな人におすすめ!

  • 知的障害者が主人公の物語を読みたい人
  • 泣ける小説を読みたい人
  • 人生における大切なものについて考えたい人

2.あらすじ

32歳にして6歳児並みの知能しか持たない青年、チャーリー・ゴードン。

パン屋で働く日々を過ごしていたチャーリーだったが、勉強意欲の強い彼はとある研究の臨床試験者に選ばれ、知能向上を目的とした脳手術を受けることになる。

手術後、彼の知能は瞬く間に飛躍してIQ185を持つ天才となる。

手術を受けて高い知能を得たチャーリーだったが、手術前に持ち合わせていた彼の純粋な心と明るい性格は失われていき、それは次第に周りの人々との間に大きな壁を生むことになる。

そんなある日、チャーリーと同じ手術を受けて高い知能を得たネズミであり、チャーリーの親友の「アルジャーノン」が手術の影響で死んでしまう。

アルジャーノンの死を目の当たりにして恐怖を覚え始めるチャーリー。

チャーリーを待ち受ける運命とは...

3.『アルジャーノンに花束を』を読んでの感想

頭がいい、頭が悪い。

頭が悪いよりかは頭がいい方が生活もしやすいでしょうし、何かと便利なのは確かなことだと思います。

でもそれは、単に「その方がいい」というだけの話なんではないでしょうか。

頭が良い悪い以前に、そんなベクトルでは図ることができない大切なものが人生にはあるんだと、本作を読んで思いました。

チャーリーは「利口になりたい」という強い思いが叶い、脳手術を受けることができて天才へと変貌を遂げましたが、それでチャーリーが以前より生活しやすくなったかと言えば決してそんなことはありません。

遊んだり勉強をすることに対して言えば手術前よりやりやすくなったのはもちろんですが、幸せになったかと問われればどうでしょう。

少なくとも、周りの人々は手術前のチャーリーの方が接しやすかったのは間違いないです。

チャーリー自身も周りと打ち解けているように見えました。

しかし、脳手術を受けたことによってチャーリーの人生は狂い始めます。

正直に言って、ぼくは賢くなりたいですし、お金も欲しいし、かっこよくもなりたいです。

でも、それらが「幸せ」に直結するのでは決してないんだと、改めて思いました。